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米Exhibitor Relations社
ジャンル:アニメーション、アドベンチャー、コメディー、ファミリー
キャスト(ボイス):ピーター・サリス、レイフ・ファインズ、ヘレナ・ボナム=カーター
監督:ニック・パーク、スティーヴ・ボックス
脚本:ニック・パーク 他
配給:ドリーム・ワークスSKG
全米公開:2005年10月7日/日本公開:2006年3月18日
上映時間:85分
MPAAレイティング:G
英国の人気クレイアニメ・シリーズ『ウォレスとグルミット』が10年ぶりに初の長編映画として帰ってきた! 野菜畑の害獣駆除の仕事を営むとぼけた天才発明家のウォレス(サリス)と彼の助手で家事全般をこなすスーパードッグ・グルミット。毎年恒例の“巨大野菜コンテスト”を目前に、近所ではウォレスが発明した害獣駆除装置が大人気。そんな中、深夜に畑を荒らす謎の巨大な獣が出現。コンテストの主催者であるレディ・トッティントン(カーター)はウォレスに獣の退治を依頼するのだが、その獣の正体とは・・・。ウォレスとグルミットの頭脳と体力を賭けた(?)捕獲大作戦が始まった。
本シリーズはもともとニック・パーク監督が美術学校の卒業制作として『チーズ・ホリデー(1989)』を手がけたのが始まりである。起承転結で構成されたストーリーの中にイギリスらしい毒のあるジョークと子供心をかき立てるようなカラクリが盛り込まれ、子供だけでなく大人も楽しむことができる。第2,3作目も30分前後の短編作で、さらにスピード感とインパクトの強いキャラクターが加わり、なかなか秀逸。なんと3作連続でアカデミー賞短編アニメーション部門の受賞を果たしている。
これだけ華やかな経歴と才能をもつパーク監督に、大手制作会社が目をつけないはずはない。『チキン・ラン(2000)』に続き、今回もドリーム・ワークス社のアメリカ資本をバックに本作が作られたわけだ。しかし、短編シリーズ物の長編版を作るのはそう容易ではない。人気シリーズとなると観客の期待度はさらに高まる。これまでの早いリズムとテンポのよいオチだけでは90分ももつはずがなく、テーマ性やメッセージ性をもったストーリー展開が求められる。さらにスポンサーが喜ぶような作品に仕上げなければいけない。
そこで思い出されるのが、イギリスのコメディードラマ『Mr.ビーン』シリーズ。テレビ版でのユーモラスなビーンのキャラクターが、ハリウッド版『ビーン(1997)』では単なるダメ人間として描写され、ファンの期待がみごとに裏切られた。そんなこともあり、グルミットファンの私は期待半分、不安半分で観に行ったわけだが、そんな心配をよそにパーク監督はやってくれた。
クラシックと言われるハリウッド映画の数々の名場面や名セリフをわざとらしく取り入れることで本作のテーマを「ハリウッド」にしてしまったのだ。愛するマドンナを鷲づかみにして敵から逃げ、塔の天辺で攻撃を受ける獣(『キングコング』より)。『フォレスト・ガンプ』の名セリフをと叫ぶマドンナなど、ロマンスネタありの、スリラーネタありのと、まるで宝探しのようだ。
この作品がイギリス人にどう映るかは疑問である。しかし少なくともアメリカ人のツボを突いた作品で、スポンサーのスピルバーグも大喜びだろう。とにかくCGが当たり前のこの時代に1秒間に24カット、効果音も手作りという徹底した職人気質のパーク監督のこだわりには脱帽する。この温かい手作り感こそが、ハリウッド版となっても今までと変わらず人々から愛される所以なのだろう。
評論家の評価:A-
観客の評価:B+
筆者の評価:A-
日本でのヒット性:A-
7日に全米で封切られた本作は、初登場でみごと興行収入首位を収めた。そんな矢先、英西部ブリストルにある制作会社アードマン・アニメーションの倉庫が全焼し、保管されていた人形や小道具、過去3作分のフィルムなどが焼失。幸い、本作のセットや小道具は倉庫内になかったため焼失を免れたが、同制作会社の広報担当者は、「初登場でいきなり第1位と聞き、今日はお祝いをする予定だった。それが一転して、今までの30年の歴史が灰になってしまった」と語った。
文:佐藤 香