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米Exhibitor Relations社
ジャンル:コメディー・ロマンス
キャスト:ジェニファー・ロペス ジェーン・フォンダ ミシェル・バルタン ワンダ・サイクス
監督:ロバート・ルケティック
製作:クリス・ベンダー リチャード・ブレナー
配給:NEW LINE CINEMA
全米公開:2005年5月13日/日本公開:未定
上映時間:95分
MPAAレイティング:PG-13
病院の受付係、シャーロット(ジェニファー・ロペス)は完璧なる男性との出会いを夢見る女の子。 彼女のありふれた願望は、理想のオトコ、ケビン(ミシェル・バルタン)に出会って一気に現実に。少壮の外科医であるケビンは誰もが振り向くハンサムガイ、しかも指折りの名門家庭出身というおまけつき。あまりに完璧な展開に天にも登る気持ちのシャーロットだが、好事魔多し、ケビンの後ろにはモンスターのような母親バイオラ(ジェーン・フォンダ)が控えていたのだった。かくして、手段を選ばず2人の結婚を阻止しようとするバイオラとシャーロットの間で壮絶なバトルの火蓋が切って落とされる。
スタンリー&アイリス(90)以来、銀幕から遠のいていたジェーン・フォンダと、このところすっかり映画づいている歌姫ジェニファー・ロペスがタッグを組んだラブコメディー。マザコン気味のボンボンとその母親、そして困難な状況で健気に戦うヒロインという普遍的なストーリーだが、出来のいい脚本と演出の妙で手垢のついたプロットに新風を吹き込んでいるかというと、これがまたそうでもない。
15年ぶりのスクリーン復帰となるフォンダの入れ込みも、大女優フォンダを向こうに回したJ・ローの熱演もそれなりに伝わってくるのだが、繰り出されるジョークがイマイチな上、次の展開がミエミエな脚本、良いコメディーを見た後の“一本とられた”感を味わうには程遠い出来である。大体こういう「嫁姑の確執」パターンには、板ばさみになるマザコン男の駄目さ加減の描写が不可欠であるにも関わらず、ミシェル・バルタンは単なるサワヤカな二枚目、これでは観客のJ・ローに対する感情移入もままならない。
しかしそこは大女優ジェーン・フォンダ、その圧倒的な存在感で観客を楽しませてくれる。泣いても笑っても怒っても、常に安定した演技を見せる力量はさすが。シリアスな名演でアメリカンシネマに一つの時代を築き上げた演技力は、ジャンルをコメディーに移しても遺憾なく発揮されている。
数々の問題を引き起こしながら世界中に話題を提供してきたハリウッドのはねっかえり娘ももはや68才。反体制運動のさなか、怒れる若者のアイコンとして親の世代との闘争に情熱を燃やしてきたジェーンがおばあちゃん役をやる事に感慨を覚えない米国人はいないだろう。これで映画が今ひとつの出来でなければ万々歳だったのだが。
今回はジェーン・フォンダ銀幕復帰のご祝儀買いという事で何とかナンバーワンを確保したが、次回は是非とも良い作品を選んで大ヒットを飛ばして欲しい。歴史に残るアメリカンアクトレス、ジェーン・フォンダの円熟期はこれからなのだから。
評論家の評価:C-
観客の評価:B-
筆者の評価:C
日本でのヒット性:C
本作のリリースと時を同じくして、ジェーン・フォンダの自伝、「My life so far」が発売された。自分の人生を赤裸々に語った内容だが、60年代という時代背景とリンクして圧倒的に面白い。下手をすればワークアウトのインストラクターくらいのイメージしか持たれていない彼女だが、60、70年代にかけての反体制運動の旗手であり、60年代のアメリカ史を語る際には欠かせない時代のアイコンなのだ。彼女の反戦活動の過激さについては、ベトナム戦争のさなかハノイに赴き、北ベトナム兵とにこやかに記念写真をとって世界中にバラ撒いた事実を挙げれば十分だろう。イラク戦争の真最中にバクダッドに潜入し、フセインとピースサインの2ショットを撮るようなもので、当時世界に与えたインパクトは途方もなく大きかった。反体制運動に体を張った彼女の前では、リベラルを標榜する最近の若手ハリウッド女優たちも軟弱なガキに過ぎない。
「My life so far」は単なるジェーンの個人史にとどまらず、60年代のハリウッド、そしてアメリカの現代史の格好のテキストである。日本でも早ければ今年中に翻訳が出ると思うが、この時代に興味がある人には必読の一冊。
文:岩下慶一