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米Exhibitor Relations社
ジャンル:アクション、アドヴェンチャー、ドラマ
キャスト:オーランド・ブルーム、リーアム・ニーソン、エドワード・ノートン
監督:リドリー・スコット
脚本:ウィリアム・モナハン
配給:20世紀フォックス
全米公開:2005年5月6日/日本公開:2005年5月14日
上映時間:145分
MPAAレイティング:R
1184年、十字軍の騎士ゴッドフリー・オブ・イベリン(ニーソン)は、フランスで鍛冶屋を営むバリアン(ブルーム)を訪れ、自分が父親であることを告げる。家族を失ったばかりのバリアンは、その哀しみから逃れるかのように、父とともに聖地エルサレムへと旅立つ。途上で負傷した父ゴッドフリーは、自らの剣ととともに平和への想いを息子バリアンに託す。そのころのエルサレムでは、第二回と第三回十字軍遠征のはざまで、キリスト教徒とイスラム教徒の間に一時的な休戦が保たれていた。だが賢明な国王ボードワン4世(ノートン)が病に倒れると、摂政ギーはイスラム側の君主サラディンを刺激し、再び戦乱が起こる。父ゴッドフリー、敬愛するボードワン4世が目指した「キングダム・オブ・ヘブン=天国の王国」を実現するため、バリアンは十字軍を率いて戦場へ向かう・・・
『グラディエーター(2000)』のリドリー・スコットが再び歴史大作ロマンに挑戦。制作費1億3千万ドル(約137億円)。主演は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ、『パイレーツ・オブ・カリビアン(2003)』『トロイ(2004)』と立て続けにヒット作に出演し、今や人気絶頂ともいえるオーランド・ブルーム。これだけでも全米ナンバーワンは堅いところだ。
とはいえ『キングダム・オブ・ヘブン』は、なかなか硬派な作品、悪く言えば「ああ面白かった」と万人が楽しめる映画ではない。イスラム側を敵に見立てた勧善懲悪のお話なら、「がんばれ!十字軍」と感情移入もたやすい。しかし今時そんな偏った物語をリドリー・スコット監督が撮るはずもなく、結果、キリスト側、イスラム側それぞれがわけあって戦争するという極めて中立的な立場をとっている。例えばイスラム側の君主サラディンは、公正な理念を持った好人物としてさえ描かれている。
一方、キリスト側には摂政ギーのような、平和を乱す悪人キャラが登場する。これに対しカトリック教会の権威者からは「まるで十字軍がアラブの平和を乱したようだ」と不満の声も上がり、英国の十字軍研究の権威(ジョナサン・リリー・スミス)は「歴史のオサマ・ビンラディン(=イスラム側)・ヴァージョン」と皮肉っぽくコメントしているそうだ。
皆さんお察しの通り、この映画は、今の中東情勢に向けた寓話的メッセージなのだ。イスラエルの人権団体ビツレム(B’tselem)の調査によれば、2000年9月から2005年1月の間、4000人以上の人々がパレスチナ紛争の犠牲になっている。自爆テロの話題も、またかというくらいにニュースから聞こえてくる。キリスト教徒が、イスラム教徒が、ユダヤ教徒が、それぞれの神を尊重しながら共栄する『キングダム・オブ・ヘブン=天国の王国』。エルサレムは、そして世界は未だに、その実現に向かう途中なんです。
評論家の評価:B
観客の評価:B+
筆者の評価:C
日本でのヒット性:B
リドリー・スコットの実績、オーランド・ブルームの人気、冒険活劇と日本でウケやすい要素はそろっている。ただファミリー向けじゃないのがマイナス。
皮肉なユーモアが売りのタブロイド紙ニューヨーク・ポストは、5月7日の紙面で、『キンダム・オブ・ヘブン』をネタに歴史上ありえないリストを発表した。
その1:エルサレムでムスリム・クリスチャン・ユダヤ協会がお互いの平和を保っていた・・・そんな団体は存在しない。
その2:オーランド・ブルーム演じる鍛冶屋が騎士になり、みるみる巨大な軍隊を率いるに至った・・・そんな出世は12世紀にありえない。
その3:ブルーム演じる主人公は十字軍を率いながら神の存在を疑っていた・・・そんなこと知れたら火あぶりだ。
その4:イスラム軍の将軍サラディンは慈悲深いネルソン・マンデラのような人物だった・・・実際には敗北したキリスト教徒の騎士たちを多数処刑した。
歴史の教科書によれば、サラディンは捕虜を解放した人格者という見方もありますが、まあともかく話のタネにいかがでしょう?
文:森マサフミ