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ラスベガスからの手紙――アメリカよ。そこをどう経営しているのか?

名経営者が名家長になる方法

長野慶太

あなたは名経営者だ。ところで家長としてはどうだろうか? あなたの個人資産を不当な訴訟リスクなどからきちんと守れているだろうか?

アセットプロテクションという富裕層の財産保護技術がアメリカでいっそう盛んになっている。今時、「名義を妻に変える」などと言ったら米国では笑われる。

保険を購入したり資産清算判決の及ばない個人年金(IRA)の枠を使うが十分ではない。

筆者の住むネバダ州では特にアセットプロテクション(資産保護)が有効な法整備になっていてアメリカでも名高い。ネバダを例にとると具体的には富裕層はこのような手段をとる。

まず、家などの資産や利益を生む会社を別途LLC(有限責任のメンバーシップ会社)という法人に所有させる。そしてそのLLCをさらにLLP(有限責任のパートナーシップ)法人に所有させる。(LLCもLLPもまだ日本にない法人形態)。このLLPの99%の所有権を変更不可能なトラスト(信託)に持たせ、残りの1%を本人が持つ。複雑だが、トラストは「物を言わない」ので引き続き本人がすべての財産を管理することができる。またトラストは本人と別人格であるので業務訴訟や交通事故(加害)などのリーガルリスクもない。本人が敗訴しても、LLPの所有権は通常清算対象とならないので、ほぼ完全な財産のプロテクションがかけられることになる。

ネバダではこのトラストを、必要があれば海外に籍を移すことができるように設定しておくことさえできる。

通常は、ある州で判決がでれば、それをDomesticationといって他の州の裁判所に認識させることによって負けた被告の他の州の資産も清算が可能だ。これは外国(たとえば日本)の資産にも及ぶ。

ところが、クック諸島などの国ではこの手続きを認知せず、かつ成功報酬による弁護活動を認めないなどの法をもつために、ネバダにいながらネバダ以上にトラストの保護力が高まるわけである。

本コラムでは州の独自性をよく強調するが、アセットプロテクションにもその独自性がよく反映する。

ネバダのように、外部からの投資にますます依存したいと考える州では当然強いアセットプロテクションが可能になる法整備を配慮する。

リタイアしてネバダに移り住むシルバー層があとを立たない。

気候や交通整備、エンターテイメント、物価などさまざまな理由で移ってくるが、富裕層はネバダのアセットプロテクションに魅力を感じて移る人も実は多い。

地方が活性化する一メニューである。

ビジネス誌「財界」連載中
4/19/2005号より転載
最新コラムは本誌をご覧ください

筆者:長野慶太
対米進出コンサルタント。ラスベガス在住。ネバダ・ジャパン・コンファレンス(www.usjapan21.com)社長。1965年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、三井銀行入社。ラスベガスの法律事務所Woods & Erickson勤務ののち、起業。大石&荻原 国際会計事務所社長。講演多数。近著に「ラスベガス 黄金の集客力」 (ダイヤモンド社刊)等がある。