さかぐちとおるの世界B級都市紀行
キト(エクアドル)
〜赤道直下の涼しい高原都市〜
さかぐちとおる
エクアドルの首都キトは、標高2850mの地点にある。周囲にはコトパクシ山(5896m)などアンデスの山々が連なり、 細長い盆地帯にキトの市街が広がる。首都ながら南部の港町グアヤキルに次いで2番目の規模の都市で、 人口はおよそ140万人を有する。エクアドルとはスペイン語で赤道という意味。この国はまさに赤道直下にあり、 首都キト近くには赤道の記念碑が建っている。
緯度経度0度の地点
![]() 記念碑を後ろに赤道を跨いで記念撮影をする男女 |
キトから北に20kmほど行った所に、La Midad del Mundo(地球の真ん中)と呼ばれる地点がある。 この地点の緯度経度は0度だ。北緯および南緯は0度で、東経西経ともに0度である文字通り地球の中心点である。 1736年にフランス人の探検家たちが観測をして、この地点を探り当てた。
衛星を使った最近の調査によると、その地点は少しずれていると言う。にもかかわらず、 この地点は地球の中心点であることになっており、観光名所として多くの旅行客がやってくる。 そして週末には地元の人たちも集まり、出店が並び催し物が行われて賑やかになる。
中心の地点には高さ30mほどの台形の記念碑が建っており、この中は博物館になっている。 まずエレベータに乗って建物の屋上に行くと、周囲の村々が眺められる展望台がある。 そして階段を下りながら、エクアドルの様々な先住民やその暮らしに関する館内の展示物を見ることができる。
この記念碑の地面には東西南北の方向に線が引かれており、東西の方向に延びた線が南半球と北半球を分ける線ということだ。 観光客がこの線を跨いで、思い思いに記念撮影している。しかし写真を撮るような所は、 せいぜいこの記念碑と地面の線くらいしかなくて、ここを訪れたことのある友人は「行ってがっかり名所」の一つだと言う。
私が行ったのは土曜日だったので、公園敷地内の特設会場には楽団が出演し、ダンスコンテストのような催し物で 盛り上がっていた。露店が並んで賑やかな様子で、集まった人たちは外国人観光客よりもエクアドル人の方が多い。 「地球の真ん中」である観光名所には変わりないが、どちらかと言うと地元の人たちの憩いの公園のようであった。
世界遺産第1号のキト歴史地区
![]() 南米最古のサン・フランシスコ教会と修道院 |
キトの旧市街は、コロニアルな街並みが広がっている。かつてこの地には、インカ帝国の古代都市があり、 ペルーのクスコに次ぐ第2の都市として栄えていた。スペイン征服軍の手が及び、インカの人たちは1533年に 自らその街を破壊した。その廃墟にスペイン人がやって来て新たな街を築き、残された先住民たちは スペイン人の元に生活を始める。
その後およそ300年間、エクアドルの独立までスペイン人による植民地支配が続く。この間に総督府やカトリック教会、 為政者の邸宅などが建設され、コロニアルな街並みが造られた。このような建築物が並ぶキト歴史地区は1978年に、 ユネスコ初めての世界文化遺産の一つとして登録された。
このキト旧市街の中心地は独立広場だ。この広場に面してカテドラル、総督府として使われていた大統領官邸、 市庁舎などが建っている。カテドラルはゴシック様式の支柱が立ち、バロック様式の祭壇が設けられ、 独立運動の英雄スクレ将軍が内部に埋葬されている。また大統領官邸の場所には、かつてインカ帝国の宮殿が建っていた と言われる。
独立広場から歩いて3分ほどの所に、サン・フランシスコ広場がある。こちらの広場の方が広々とした感じで、 そこに面して宮殿のように重厚なサン・フランシスコ教会と修道院が建っている。1535年に建てられた 南米で最も古いカトリックの教会施設の一つで、スペインのエル・エスコリアル修道院を模して造られたとも言われる。
このように歴史的なコロニアル建築が並ぶキト旧市街であるが、ヨーロッパの観光地などに比べると、 それほど大勢の観光客がいるという感じではない。旧市街を歩いている人たちの多くは地元の人たちで、 教会に行くと人々が祈りを捧げている。先住民の伝統衣装を身に着けた人も見られ、彼らはカトリックに 伝承宗教を重ね合わせて信仰している。
治安があまり良くないとも言われているが、制服の警官が至る所に巡回していて、警備が行き届いている感じだ。 観光名所の周辺は、意外ときれいに整備されている。日中であれば安心して街歩きができて、庶民の雰囲気を感じながらも 観光を楽しむことができる。


