2005年03月07日

イタリア発「バグダッドの悲劇:真実は何処に?」

戦争反対のメッセージを伝え続けてきたマニフェスト紙の記者ジュリアーナ・スグレーナが1ヶ月振りに拉致グループから解放されたと言うニュースでイタリア中が喜びに包まれた僅か数時間後に起こったのは誰もが予測していなかった悲劇だった。

イタリアの政府専用機が待つバグダッドの空港まであと700mという所で、スグレーナ他3人を乗せた車に200発以上とも言われる銃弾が浴びせられ、スグレーナを庇うようにして守った情報機関員ニコラ・カリパーリ氏(51)が頭部に銃弾を受けスグレーナの腕の中で即死。彼女も肩に銃弾を受け負傷した。

「これは不幸な事故であり、猛スピードでチェックポイントに突っ込んでくる車があったから自爆テロだと思った」と言うのが最初の米軍の言い訳であったが、スグレーナと同乗者の情報機関員は「チェックポイントは無く、緩やかなカーブを描く道に合わせてゆっくり進む車に突然ライトが当てられ銃撃された」と証言。

スグレーナ達がイタリアへ発つ事、空港までのルートは既に米軍に報告済みで、車の中からもカリパーリ氏が携帯電話を使用してバグダッドのイタリア大使館へ2回確認の連絡が取られたが、これもアメリカ側は否定している。

解放前にスグレーナは「米軍に気をつけろ。あいつらはあなたをこの国から出す気は無い」と拉致犯人達に忠告されたが、彼女は銃弾を浴びるまでその言葉を本気にしていなかった。

長年イラクの為に働いてきた2人のイタリア人女性が拉致された際には、厳重な報道規制が敷かれ私達は彼女達の安否について何も知る事が出来なかった。解放当時、2人はイラク人女性の衣装を纏った上に顔が隠されていた。これも2人をテロリスト「以外」の敵から守る為に取られた手段であったと言われている。

未だに女性ジャーナリストが拉致されているフランスでは、「真実を伝えてしまうジャーナリストが人質となった場合、アメリカ軍が人質救出の阻止をしているのは紛れも無い事実だ」と政治家が明言して波紋を広げている。

イラク国民「解放」の為に派遣されている彼らの平均年齢が僅か19歳で、チェックポイントと彼らが呼んだ地点にいた兵士達は先週アメリカから到着したばかりだと言う。
精神的にも熟練とは程遠い彼らが恐怖感を持っていない訳が無いだろう。

イラク国民の10人中9人がアメリカ軍を「解放」ではなく「占領」と感じていること。
その「解放」の為に派遣されている彼らの平均年齢が僅か19歳で、チェックポイントと彼らが呼んだ地点にいた兵士達は先週アメリカから到着したばかりだと言う。精神的にも熟練とは程遠い彼らが歓迎されない土地で恐怖感を持っていない訳が無いだろう。

そして今の所「不幸な事故」としか呼び様の無い今回の事件と全く同様の「事故」が先日同じ地点で起こっている事も気になる。

カリパーリ氏の遺体が6日の零時頃、チャンピーノ空港に到着。嬉しいニュースで幕を挙げたサンレモ音楽祭最終日も、途中で中断して彼の無言の帰国を出迎えた。チャンピ大統領が両手をイタリア国旗に包まれた棺に当てて出迎えた。長い長い沈黙から彼の痛みも伝わってきた。

今週末には、銃撃された車がイタリアに運び込まれる。アメリカ側の釈明にイタリア政府は明らかな不満を示した。ベルルスコーニ首相も現地の調査団にイタリア人を混ぜる事をアメリカ側に要求している。不幸な事故を繰り返さない為にも反米感情ではなく真実の追求が求められている。

投稿者 千代 薫 : 08:28 | コメント (3)

2005年01月09日

イタリア式 禁煙のススメ

イタリアでは今夜午前零時から禁煙に関する法律が施行されます。2003年1月から話し合いが続けられ昨年末29日に施行される予定だったこの法律は、年末年始の稼ぎ時と重なり飲食店経営者達の大反対を受け1月10日からとなりました。

この法律によって、学校、病院、駅、電車は勿論の事、レストラン、バー等の飲食店、公共施設、個人企業、映画館、ゲームセンター、ホテル等が禁煙となり、喫煙ゾーンを設置する場合は四方が壁に囲まれた室内に一人当たり1秒間に30Lの空気の入れ替えが可能な装置の設置が義務付けられます。
コントロールはまず施設の責任者に請求され、喫煙者に注意を促しても従わない場合は自治体警察等の介入となります。喫煙者の罰金は27,5から275ユーロとなり妊婦、12歳以下の子供が施設内にいる場合は倍になります。約25万件ある飲食店、ディスコ等の責任者が意識的、無意識に関わらず喫煙者をだした場合220から2.200ユーロの罰金となり、喫煙者と同じく施設内に妊婦、12歳以下の子供がいる場合は倍となり、場合によっては3日から3ヶ月の営業停止となります。

罰金の規定は自治体警察、警察、個人企業では監視員、警備員によって行なわれ、違反の指摘は一般客によっても可能となります。

また小さな店が多い為に実際に空気清浄機が取り付けられるのは、4,5%(その内の5分の1が規定を満たす装置)つまり禁煙の所が殆どだと言う事です。

ヨーロッパ一厳しいと言われるこの法律に対して、約90%のイタリア人が好意的だと言われています。何故なら、どんな法律を作っても抜け道を作るのが上手い彼らは徹底した法律を作らなければ効き目が無い事をよく分っているからです。そしてそれは勿論自分以外に向けられた物だと解釈しています。ヘビースモーカーの友人も喫煙者のマナーの悪さを指摘して「彼らは自分の車の灰皿を汚す代わりに窓から投げ捨てるし、妊婦の前でも平気でタバコを吸うのよ」と言いながら目の前の細長いタバコに火をつけます。政治家の中にも既に法律改定へ向ける動きが見られます。「とりあえず施行となったけど、一晩中タバコ無しで討論なんて無理な話しだろ?」


ちなみにイタリアの喫煙者は現在1300万人。この法律によって喫煙者の減少に繋がる事になるかは分りませんが、これからイタリア旅行をお考えの愛煙家の皆様はご注意下さい!

投稿者 千代 薫 : 23:10 | コメント (6)

2004年12月23日

イタリアのクリスマス

いよいよ明日はクリスマス・イヴ。誰もが優しくなり慈善の心が広がるクリスマスは子供から大人までイタリア人にとってとても大切な季節です。地域や家庭によってメニューも様々ですが(ヴェローナのパンドーロ、ミラノのパネットーネ、シエナのリッチャレッリ等がクリスマスの有名なお菓子)一般的には24日の晩または25日のお昼に家族が一同に集まり食事をしてプレゼントの交換をします。(食事の後はトンボラというビンゴに似たゲームをしたり映画に行ったりします)

クリスマスには、プレゼぺと呼ばれるキリスト降誕の場面を人形で表現した模型(カトリックではない子供達が増えてきたという理由で、今年から学校での飾りつけが禁止になった事でローマ教皇も含めて論争になりました)又はクリスマスツリーを伝統的には12月8日のimmacolata Concezione(聖母無原罪の御宿りの日)から1月6日のepifania主顕節まで飾ります。

恋人は勿論の事、親、親戚、兄弟、親しい友人とリストに並ぶ名前には事欠かないイタリアのクリスマスでは、プレゼントの出費に頭を悩ます人が多いのが実際の所。今までもお店ではなくマーケットで購入したプレゼントを自分でラッピングしたりと努力してきたのに、ユーロが導入されたことによる物価の上昇で大打撃を受けている家庭の懐に(お給料は未だリラ時代の金額をユーロに換算したままの所がほとんど)この時期の重なる出費は楽しいクリスマスに暗い影を落とします。

そこで出てきた今年の現象が「お買い物はサン・マリノで」。リミニの南24kmにあるサン・マリノは人口2万5000人の世界で5番目に小さい共和国です。珍しい切手の発行でも有名な同国に買い物目当てのイタリア人が後を絶たないのです。近年アウトレットも出来たサン・マリノの税率はイタリアよりも低く、特に電化製品の売り上げが好調だとか。

テレビやラジオのCMでは定番プレゼントの香水、時計、アクセサリーの他に「あなたの彼を可愛がってあげましょう」というフレーズと共に男性用化粧品が目に付きます。

皆さんはどんなクリスマスを過ごされるのでしょうか?
今年も色々ありましたがよいお年をお迎え下さい.

Buon Natale e Felice Anno Nuovo!!

投稿者 千代 薫 : 23:31 | コメント (0)

2004年11月09日

イタリアの犯罪組織

イタリア人が故郷を愛してやまないのはよく知られるところだが、犯罪組織も地域密着型といえるだろう。その代名詞とも言えるマフィアコーザノストラとはシチリアの犯罪組織の事を指し、カラブリアのンドランゲタ、ナポリのカモッラと続く。主な犯罪組織は南イタリアに集中しているのが特徴だが、この地域の人々が元々スペイン、アラブから移住してきているという歴史的事実も関係していると思われる。

彼らの資金源は主に麻薬である。儲けは単純に計算してもイタリアの国家予算をはるかに上回る。そして麻薬購入資金を得る為に多く使われた手段が誘拐である。80年代には子供から大人まで身代金目的の誘拐が数多く起こった。身代金が支払われるまで長い時には1~2年の間、着の身着のまま地下の穴蔵に手錠で繋がれ監禁された。バーやレストラン、店を営む人々も毎月売り上げから何10%と取り立てられ払わなければ文字通り爆破される。

これらは過去の出来事だろうか?
残念ながら答えはNo.組織撲滅に関わった警官、裁判官、弁護士等は見せしめとばかりに抹殺され、矛先は一般人にも向けられる。震災の見舞金は直後に作られた「支援組織」に消え10年以上経った今もキャンピングカーで暮らす人々がいたり、カラブリアでは耐えられなくなった事業経営者達が続々と町を後にするため職は減り、若者の失業率が60%とイタリア一高い。カラブリア-シチリア間の橋の建設が遅々として進まないのは海流の問題だけではないだろう。ベルルスコーニ首相は多額の国家予算を当てての早期実現を謳っているがそれらが全て誰かの手に渡ってしまっては元も子もない。前回の選挙で首相へのシチリアの投票率が100%だったということも付け加えておこう。                             

新聞の記事によるとこれらの犯罪組織の中で昨年度死亡者数が最も多かったのがカモッラ、次いでンドランゲタ。この凶悪度ランキング(?!)に気を悪くした誰かが躍起にならないと良いのだが。

投稿者 千代 薫 : 05:20 | コメント (5)