2004年09月20日

外国人労働者の受け入れ

岩下慶一

2006年から人口が減少に転じる日本で、労働力を確保する方法の一つは外国人労働者を受け入れる事だ。バブル時代に外国人労働者が3Kと呼ばれる職業に就くケースは多かったが、今後も外国人の就労はますます一般的になっていくだろう。合法的な就労として外国人にマンパワーの一端を担ってもらう事は国内製造業の空洞化を防ぐためにも必須だが、外国人の受け入れに対してある種の摩擦が起こるのもまた十分予想できる。彼らを単なる安価な労働力としてだけ扱うか、社会の一員として受け入れるか、日本の国際化が試される新たなステージだろう。

米国、特にカリフォルニアの産業は南米からの移民の労働力なしには成立しない。農業、流通業から不法移民を一掃してしまえば、野菜の値段は暴騰するか、あるいはまったく手に入らなくなってしまうだろう。法で定められた最低賃金よりはるかに安い金額で働く外国人(多くの場合不法移民)がいてこそ、米国社会は成り立っている。一種の搾取構造だとも言えるが、貧困を逃れたい南米移民と底辺の労働力を確保したい米国との間には、暗黙のギブ・アンド・テイクが存在している。

ロサンゼルスに本拠を置くアメリカン・アパレル・ストアー社は、移民搾取の風潮に真っ向から挑戦する企業としてNYタイムズなどのメディアに取り上げられ、全米にその名を知られることになった。ティーンエイジ向けのこじゃれたTシャツや下着を主力として急伸している中堅アパレルメーカーだが、そのポリシーは「Made in U.S.A.」そして「Sweatshop Free(従業員から搾取をしない)」。
AA社の製品はすべてロサンゼルス市内の工場で作られている。生産過程の合理化を徹底的に推し進める事によって、ギャップなどの中国生産・低コストのコンペティターと果敢に戦っている。

AA社の工場で働く従業員の多くがメキシコ系移民だ。この主の産業では移民の低賃金労働で競争力を確保するのが普通だが、AA社は敢えてそれをしない。法定賃金を上回るサラリーを出し、さらに業務の一環として彼らに英語教育まで施している。わざわざ業務の一環、としたのは、このプログラムが勤務時間内に行われるからだ。つまり、英語のレッスンを受けている時間に対しても給与が支払われる。

従業員への英語教育をフィランソロピーの一種として行っている企業は多いが、それらはあくまで福利厚生の一環として勤務時間外に行われる。AA社のように従業員へのジョブ・トレーニングの一部として英語教育を行う例はかなり珍しい。同社のスポークスマンは「従業員のコミュニケーション能力を高める事は、長い目で見れば企業にとっても大きなプラス」と言う。彼らを単なる日雇い的な労働力として扱わない姿勢が見て取れる。さらに「これからの企業は従業員を家族として考えるべき。彼らの抱える問題を解決し、生活環境を向上させることは、会社の生産性を高めることになる」とまで言い切る。まるで少し前の日本企業を思わせるポリシーだ。

現在すでに相当存在する日本在住の外国人は今後ますます増えるだろう。日本の企業、社会が彼らをどのように遇するか-単に3K市場の効率的な労働力とだけ見るか、日本社会の新しいパートナーとして積極的に受け入れるか-国際化された新生日本に脱皮できるかどうかの試金石の一つかもしれない。アメリカン・アパレル・ストアーが示唆するものは多い。

投稿者 岩下慶一 : 2004年09月20日 13:22 | [EDIT]

コメント

私どもはネパールにある人材派遣会社 ディープジョティと申します。マレシア、韓国、オストラリア、中東など人材を派遣しており。日本でも工場で働く人材を日本語教育し送りたいと思ってここに登録したわけです。宜しくお願い致します。

投稿者 カティワダ ディリ : 2008年08月16日 21:49

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