2004年09月04日
揺れるプロ野球、本当の原因は『人口問題』
森 摂
日本のプロ野球が揺れている。近鉄がオリックスブルーウェーブへの合併を申し入れると同時に他球団の合併観測や1リーグ化論争が巻き起こり、いまだ収束の兆しを見せていない。プロ野球の再建に向けてはさまざまな議論が起きているが、この問題を「人口問題」から捉えるとそのインパクトの大きさが見えてくる。
近鉄は大阪、京都、名古屋という大都市や奈良や伊勢志摩(三重県)などの有名観光地を結び、戦後一貫して最長の営業キロを誇る「日本最大の私鉄」だった。だがその旅客輸送人員は92年3月期の8億600万人をピークに減少の一途をたどっている。
その原因は少子化による通学生の漸減と、景気低迷による通勤者や観光客の減少だ。だがこれは近鉄の経営だけが悪かったからではない。社団法人日本民営鉄道協会に加盟する16社の合計輸送人員は、ピーク時の1991年(104億人)から「右肩下がり」を続け、2002年に93億人にまで落ち込んだ。ある意味では、近鉄のプロ野球撤退は当然の経営判断だったとさえ言える。
日本の人口は2005年か2006年に減少に転じる。少子化という、戦争や疫病以外の原因で減少に転じるのは世界の先進国では初めてのことだ。人口減少はその国の経済に大きな影響を与えるが、最も厳しい局面を迎えるのが「内需依存型」企業だ。
自動車や電機など輸出ができる産業は、輸出増に活路を見出せる。だが、鉄道、エネルギー、建設、小売、食品、外食など内需依存型企業は、日本の人口が減り始めると、右肩下がりの経営が大前提になってくる。最近、牛角やダンキンドーナツなど国内の有力外食企業が海外展開を相次いで打ち出したのも国内市場に依存していては企業の成長はないと判断したからだ。
鉄道事業は輸出ができない。この10年の景気低迷と少子化で輸送人員が2割近く減ったのに続き、これから人口が減少に転じるとなるとなると、今後の鉄道経営は増収は決して容易ではない。
「輸出ができない」という点では、プロ野球も同じだ。2003年の観客動員数は2338万人で、前年比3%ほど増えたが、1試合当たり観客動員数でみると、セリーグは93年の34112人、パリーグは95年の23700人がいずれもピークで、その後一進一退だ。
プロ野球も鉄道事業も、日本の人口が減り始めるなかで企業規模を拡大することはもはや不可能だ。そうなると、1リーグ制や廃線などのダウンサイジングを甘んじて受け入れるしかない。
旧経済企画庁の「人口減少化の経済に関する研究会」が2000年にまとめた中間報告書によると、2005年から2020年までに総人口は2.8% 減り、GDPは6.7% 減る。つまり人口減少の率をGDPの減少率が2倍以上上回るのだ。鉄道やプロ野球だけではなく、全国いたるところ、あらゆる業界で同様の危機が待っている。
今後あちこちで起きるダウンサイジング現象を受け入れるか。もしくは外国人労働者や移民を受け入れて国内の経済規模を保つか。国民一人一人がわが身のこととして考えることが必要である。
投稿者 森 摂 : 2004年09月04日 16:29 | [EDIT]
コメント
森さん
ごぶさた。
>プロ野球も鉄道事業も、日本の人口が減り始めるなかで企業規模を拡大することはもはや不可能だ。
>そうなると、1リーグ制や廃線などのダウンサイジングを甘んじて受け入れるしかない。
人口減が内需依存企業にとり、大きなインパクトになることは事実。
とはいえ、そこには企業努力の余地があるのではないですか?
Jリーグの経営状態がどうなのかは知らないのですが、野球より努力していて、それなりの効果はでているのかな?
12球団と高野連が意識を変えれば、まだ、野球は伸びる余地があると思うのですが・・・・。
投稿者 濱田逸郎 : 2004年09月04日 21:13
濱田さん
いやあ、さっそくのコメント、ありがとうございました。結構見ておられるんですね。僕にとって初めてのブログ書き込みだっただけに、なんだかうれしいです。
ところで朝日新聞6月24日のコラムに次のような記述がありました。
↓
プロ野球の合併話が明るみになった翌日の6月15日、Jリーグは03年度の収支決算を発表した。収入は114億5400万円。協賛金や入場料、商品化権料が当初予算より伸び、過去最高の収入となった。これにより、各クラブへの配分金も76億6700万円と過去最高になった。J1の各チームには平均で2億8000万円、J2の各チームには平均で1億8900万円が配分される。これは事務局サイドの収支ではあるが、今のJリーグの現状を表す立派な数字である。改革の成果でもある。
もちろん、Jリーグの企業努力、そして対称的なプロ野球の旧態依然があるわけですが、日本の人口減少問題はその双方を飲み込む大きな力があると思います。
ところで、日本の人口は500年後に何万人になると思いますか?
NIRAの推計によると、なんと15万人です。信じられないかも知れませんが、信憑性はあります。極端な数字かも知れませんが、まさに2006年からこの数字に向けてまっしぐらに進むのです。そのインパクトは一般に考えられているより甚大です。
さて、企業努力の観点から見ると、輸出ができない産業にも国際化という戦略があり得ます。スポーツなら韓国、中国、台湾などを入れた東アジアリーグを作るのです。
実はアイスホッケーが先鞭をきっており、今年、日本のコクド、王子製紙、日本製紙、日光と韓国のハルラ、ロシアのゴールデンアムール、中国のハルビン、チチハルによる8チームによる「アジアリーグ」が誕生します。
僕は野球にしろ、他のスポーツにしろ、スポーツを国際化することが不可欠だと思っています。
投稿者 森 摂 : 2004年09月06日 14:20
>僕にとって初めてのブログ書き込みだっただけに、なんだかうれしいです。
ありゃりゃそうですか。
RSSリーダーに登録しておいたら、飛びこんできたのです。
それじゃ、初エントリー祝いに、トラックバックもサービスしちゃいます。
投稿者 濱田逸郎 : 2004年09月06日 17:49
