2003年10月22日

5000万人を超えた迷惑電話撃退リスト

形山昌由

仕事の最中に電話のベルが鳴る。受話器を取ると「何々の担当者はいますか?」。うっかり「私がそうです」とでも答えようなものなら、すぐさま商品のセールストークが始まる。

売り込みの内容はさまざま。新聞の勧誘、インターネットを使った新しいサービス、ときには受話器を上げた途端、録音テープが一方的に流れてくることもある。ノーサンキューと断わっても、なんだかんだと尋ねてなかなか電話を切らせてくれない。忙しい最中だったりすると、電話に出たことを後悔しつつ、半ば強引に切るしかない。ベルが鳴っても電話には出ず、ボイスメッセージを聞いてから必要な場合だけ折り返すアメリカ人がいるのも、セールス電話に時間をとられるのを防ぐためだ。

米国で10月から始まった「Do-not-call-list」はこうした背景から生まれた。電話セールスを望まない人たちがウエッブサイトを通じてリストへ登録する。電話セールス業者はあらかじめリストを入手しなければならず、掲載された電話番号にセールス電話はできない。違反が発覚すると罰金が科せられる。選挙応援などの電話は除かれるが、飛び込みのセールス電話は一切だめ。外国からの電話でも違反となる。制度は連邦通信委員会と全米消費者協会によって運営され、すでに5000万に及ぶ電話番号が登録されている。

始まって半月。1万5000件の違反が報告されるなどまだ混乱しているが、全米550社の電話セールス業者がリストをすでにダウンロードしたという。制度を巡っては、電話セールス業者のフリースピーチの権利が侵害されているとして、現在、法廷闘争に持ち込まれている。だが、リストへの登録者数を見ても業者側の形勢不利は否めない。

これを真似して今度は、「Do-not-spam-list」を作ろうとの動きが出ている。迷惑メールの受け取りを拒否する人をリスト化しようとの試みだ。ニューヨーク州選出の上院議員が法案を作成中で、法制化に向けて関心が集まっている。すでにミシガン州とルイジアナ州では、州レベルでスパムメールを規制する法案が通過し、違反者に禁固刑が科せられるところもある。

ただ、スパムメール禁止リストは、たとえ実施されたとしても効果が薄いだろうとする見方が多い。その気になれば発信者を追跡できる電話と違って、インターネットの世界では仕組み上、いくらでも姿をくらませる方法がある。世界中に置かれたサーバを経由してバラバラにメールが発信されたら、調べる術がない。

インターネットは世界を変えたが、そこから生まれた弊害に立ち向かおうとするとき、現行制度は常に後手後手に回る。これも技術革新に背負わされた宿命と言わざるを得ない。

投稿者 形山昌由 : 2003年10月22日 18:46 | [EDIT]

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