2004年01月26日
ハリウッドで存在感示した渡辺謙
形山昌由
ラストサムライで好演し、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされた俳優の渡辺謙は惜しくも賞を逃したが、授賞式での姿は堂々としたものだった。ノミネートされた俳優が式直前にレッドカーペットの上で行う米テレビ局のインタビューには通訳なしで応じ、言葉を考えながらもしっかりと英語で答える姿が中継された。ハリウッドスターが居並ぶ中で女性インタビュアーに「いままで見たことがないようなハンサム」と持ち上げられたのには笑ってしまったが、その後、主演のトム・クルーズと再会して抱き合ってよろこぶ姿もカメラにしっかりと映されるなど、存在感はなかなかのものだった。
ラストサムライに限らず、映画を介した日本がアメリカで注目されている。カルチャーギャップから寂しさを味わっていた日本を訪れた二人のアメリカ人男女が、東京を舞台に結びつきを深めていく「ロスト・イン・トランスレーション」は息の長いヒットを続け、同賞の5部門にノミネート。作品賞、脚本賞、主演男優賞を獲得し、映画の完成度とともに日本に対する注目度の高さを示す形となった。ユマ・サーマンが主演女優賞にノミネートされたクエンティン・タランティーノ監督のキル・ビルも、日本を舞台にストーリーが繰り広げられる映画。昨年のアカデミー賞では宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」が注目されたが、今年はアメリカ人の視点からみた日本に関心が集まっているのが違うところだ。
政治やビジネスでの日米間の結びつきはいまや切っても切れない関係にあるが、個人レベルでは日本はいまだに近くて遠い国でもある。ホンダの乗用車に乗り、ソニーのウォークマンを使うのがごく当たり前の状況になったいまでも、大多数のアメリカ人にとって生の日本を知る機会はあまりに少ない。だからこそ、エキゾチックな魅力を漂わせる地球の裏側の小さな島国の文化に興味と尊敬の念を抱いている。ロスト・イン・トランスレーションで主演女優を務めたスカーレット・ヨハンセンは、「映画の内容そのままに日本に大きなカルチャーギャップを感じた」と東京での撮影体験を語り、トム・クルーズは「ラストサムライのような精神はとても大切なこと」と話している。
人間は何度も見かける相手に対して、とくに理由もなく好意を抱くようになるという。この現象は心理学で単純接触効果と呼ばれている。野茂、イチロー、松井などスポーツ選手に続き、渡辺謙のようにメジャーな舞台に登場する日本人俳優やアーティストがこれから増えることを願いたい。たとえ初めは物珍しさだとしても、とにかくアメリカ人の前にたくさん露出することが、日本に対する理解を深めてもらう近道になるに違いないからだ。
投稿者 形山昌由 : 2004年01月26日 18:34 | [EDIT]
