2004年02月10日

自然の価値(2):あなたは美しい砂浜を歩くためにお金を払いますか?

佐藤 香

20040210_bahia.jpg
フロリダにあるバヒア・ホンダ州立公園 入園料は5ドル前後

先日、美しい砂浜で有名なフロリダ州にある「バヒア・ホンダ州立公園」を訪れた。入園料6ドル。砂浜を歩いたり、海で泳いだりして5時間ほどそこで時間を過ごした。そして、次に別の州立公園を訪れた。そこでは写真を撮るだけでほんの15分で公園を出てきたのだが、それでも入園料6ドルを支払った。この「入園料」、高いか安いかは別として、アメリカではほとんどの公園で3ドルから20ドルの幅で徴収される。例えばグランドキャニオン国立公園では20ドル。ある国有林(National Forest)でのハイキング使用料は5ドル。州立公園でのビーチ使用料6ドル。これらが「入園料」もしくは「使用料」である。アメリカでは公園の運営にあたるこのような料金を「ユーザー・フィー」または「レクリエーション・フィー」と呼んでいる。

最近、日本の国立公園でも「手数料」という言葉を耳にするようになった。日本政府は、自然が損なわれている国立公園と国定公園の入場者を制限するために、入場者から最高1000円の手数料を徴収するという案を出し、現在「知床国立公園」・「日光国立公園」・「小笠原国立公園」の3ヶ所が候補地に上がっている。そう、日本の国立公園は無料だったのである。そのため、利用者の数が増加し、121,714ヘクタールの「富士箱根伊豆国立公園」の年間利用者は1億人を突破(平成13年)。アメリカの訪問者数の一番多い国立公園は、ノースキャロライナとテネシー州にある「グレート・スモーキー・マウンテンズ国立公園」であるが、面積は「富士箱根伊豆国立公園」の約2倍の208,596ヘクタール。にもかかわらず、訪問者数は10分の1にあたる1千万弱(2002年)なのである。この数字から日本の国立公園が人で氾濫しているのが分かるだろう。

この日本の国立公園の過剰な利用は、自然に大きな負荷を与えるだけではなく、交通渋滞、排気ガス、騒音、ゴミの増加など、まるで都会そのものである。自然保護どころではない。日本とアメリカの国立公園の管理形態や土地の権限などが異なるため、アメリカが生み出した最高のものの1つである国立公園の経営方針をそのまま日本の国立公園に適用することは厳しいが、これでは日本の特徴でもある繊細な美しい景観が破壊されてしまう。そのため、今回の政府の「手数料」案は自然保護への第一歩と言えるだろう。

しかし、この「ユーザ・フィー」。現在アメリカでも論争を巻き起こしているのだが、言われてみれば、ちょっと砂浜を歩くだけ、ちょっと写真を撮るだけ、ちょっとハイキングをするだけでも、なぜ3ドルから多いときには20ドルも払わなくてはいけないのだろう。ここで、「ユーザー・フィー」の賛否の意見を挙げてみる。

■ 賛成
・ 利用者の満足度向上(設備の維持、管理。新しい施設などの建設)
・ 入場者制限による自然保護
・ 経済の活性化

■ 反対
・ 階級問題、差別化
・ 税金問題(国民の税金で運営されているにも関わらず、利用者は再度払わなくてはいけない)

自然の価値はお金で計ることができないため、おそらく「ユーザー・フィー」に関して賛否両論あるだろう。しかし、入場料を払う払わないに関わらず、また公園を訪れる訪れないに関わらず、「将来の世代のために損なわれないで残す」ことと「野生生物などの保全」が私たち人間の自然に対する使命ではないだろうか。そして、その中でレクリエーションなどを通して上手く私たち人間が自然からの恵みをもらうことができれば、最も理想的な人間と自然とのつながりだと言えるだろう。この「ユーザー・フィー問題」は、自然や環境への問題意識を芽生えさせる1つの手段として、私たちに問題を投げかけているのではないだろうか。

投稿者 佐藤 香 : 2004年02月10日 18:04 | [EDIT]

コメント

コメントする









名前、アドレスを登録しますか?