2004年07月24日

「消費者」無視の球界再編劇(1)

成田好三

プロ野球界ほどお粗末な業界はない。プロ野球の球団オーナーや球団幹部ほどお粗末な業界人は知らない。

 戦後50年以上続いてきた現行の2リーグ制が既に制度疲労の限界に達していることは、誰の目にも明らかなことである。しかし、この業界と業界人たちは、本来の主役である「消費者」(ファン)には目を向けず、時代遅れで欠陥だらけの制度を抜本的に見直すことではなく、傷口に絆創膏を貼るようなやり方で、事態を収拾しようとしている。

 第1戦をテレビで見た印象は鮮烈だった。小笠原道大、中村紀洋、和田一浩、松中信彦、城島健司らパの強打者たちはすべて、フルスイングでセの投手に立ち向かっていた。第2戦は、新庄剛志がオールスター戦で初めての単独での本盗を成功させた。滑り込んだまま、本塁上で手足をバタバタと動かして歓びを表現する新庄の姿も鮮烈だった。現在のセ・リーグには、新庄のようなスター性をもった選手はいない。

 球界はいま、近鉄とオリックスの合併、さらにパ・リーグで「もう1組」の合併を成立させ、来季10球団による1リーグ化を目指す動きと、阪神を軸とした、読売を除くセ・リーグ球団による2リーグ制存続の動きが、激しくせめぎ合っている。

 この2つの動きとも、制度の抜本的見直しを前提としたものではない。しかも、ともに業界を支える最大・唯一の基盤である消費者、ファンの意向を無視したものである。

 1リーグ化への動きは、犬猿の仲であった読売の渡辺恒雄、オリックスの宮内義彦両オーナーが、近鉄の球界撤退の動きを利用して仕掛け、それに西武の堤義明オーナーが乗ったものである。リーグ運営、球団経営とも、もはや立ちゆかなくなったパ・リーグをセ・リーグに吸収・統合する、いわば「救済合併」である。

 しかし、この救済合併では、球界を縮小再生産の方向に向かわせるだけである。球界の読売への依存体質を、セ・リーグの5球団から、1リーグ化された9球団に拡大させるだけである。読売への一極集中を加速させるばかりか、賞味期限切れの現行制度を延命させる狙いもある。

 一方、阪神を軸とした2リーグ制存続の動きも、球界全体の利益を前提にしたものではない。7月7日のオーナー会議で近鉄とオリックスの合併を事実上承認したセ・リーグのオーナーたちが、その後になって2リーグ制存続を主張し始めたことは、パ・リーグを切り捨てることに賛同したことと同じである。

 パ・リーグが来季、5球団、あるいは4球団でリーグを運営することは自殺行為にも等しい。6球団で運営が困難だったリーグが、球団数を減らした上で運営が成り立つはずがない。

投稿者 成田好三 : 2004年07月24日 01:59 | [EDIT]

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