2003年11月24日

プロ野球の「殿様商売」(下)ー球団経営は歪な構造ー

成田好三

 興行規模と人気面では圧倒的存在であるプロ野球だが、球団経営面でみれば、極めて歪な構造をもっている。 読売巨人軍など一部を除けばほとんどの球団は赤字経営である。赤字が続く会社は淘汰される。 存続できなくなるか売却される。しかし、プロ野球の球団は、そうはならない。赤字は親会社が「広告費」として 補填する。球団名から親会社の名前をはずせないのはそのためである。


 しかも球団経営は親会社からやって来る天下りの「素人」が行う。彼らはプロ野球どころかスポーツと スポーツビジネスについて何も知らない。そして、何年かすると経営の責任を問われることなく親会社に戻る。 さらに、プロ野球への新規参入は容易には許されない。強固な「ギルド」社会を形成しているからだ。


 プロ野球界が無意味な消化試合を続けている中、日本で最も影響力のあるTV局、NHKはメジャーリーグの プレーオフ中継を続けていた。地区シリーズからワールドシリーズまで、ほとんど毎日、BSで中継した。 節目となる試合はBS、ハイビションに加え地上波の総合第一でも生中継した。NHKの狙いは「秘蔵っ子」である 松井秀喜のプレーを追い掛けることだった。


 それまでメジャーリーグには縁がなかった多くのプロ野球ファンが松井見たさにプレーオフ中継を見た。 彼らはプロ野球との多くの違いに気付いたはずだ。メジャーリーガーのパワー、スピード、本気になったときの まるで命懸けのようなプレー、日程や試合進行、球場、応援の仕方——。来シーズン以降のプロ野球人気に 影響を及ぼさないはずはない。


 日本のスポーツ界も変わってきた。プロ野球が圧倒的な存在として「殿様商売」を続けられる時代ではなくなった。 日韓共催W杯開催によってサッカー人気は高まった。これまでプロ野球が歯牙にもかけなかった五輪競技のウエイトも 増してきた。TVキー局はサッカーW杯、五輪はもちろん、陸上、水泳、柔道など人気競技の世界選手権の放送権獲得に しのぎを削る時代になった。


 サッカーW杯と冬季五輪、夏季五輪は偶数年の2年ごとに開催される。その間の奇数年には人気競技の世界選手権が ある。国際競技スポーツは毎年開催される時代になった。プロ野球が独占、あるいは寡占的な地位にあった時代は 既に終わった。しかし、彼らはまだそのことに気付かない。いや、気付こうともしない。彼らの「成功体験」が許さないのだろう。

投稿者 成田好三 : 2003年11月24日 18:54 | [EDIT]

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