2004年02月05日
小泉首相の卓越したTV戦略
成田好三
2月1日、NHK正午のニュースを見て驚いた。冒頭からいきなり壇上に立つ小泉首相の映像が映し出されたからだ。 そして演説が始まった。演説内容と映像から、北海道・旭川での陸自本体の「隊旗授与式」(出発式)での訓示の場面だとすぐ分かった。
さらに驚いた。首相演説は全国ニュース枠の大半を使って終了した。その後、わずかばかりの他のニュースが流れ、 地域ニュース枠へと続いた。正午のニュースは延長されることもなく普段通り終了した。
小泉首相がNHK正午のニュースを「ハイジャック」したようなものだ。NHKと首相官邸が示し合わせたとしか思えない演説時間の設定だった。 たぶん、そうだったに違いない。
この日は日曜日だった。イラクへの自衛隊派遣問題に関心があり、7月の参院選で投票に行きそうな有権者で、 自宅にいた人は大概、NHKのニュースにチャンネルを合わせていただろう。
小泉首相ほど卓越したTV戦略をもつ首相はこれまでいなかった。
前々回の自民党総裁選では、小泉氏の街頭演説に集まる多くの聴衆の映像をTVが繰り返し伝え、 TVが伝えることによって次の街頭演説にはさらに多くの聴衆が集まるという、「小泉スパイラル」によって大勝利した。
総裁選や総選挙、イラクへの自衛隊派遣に関する小泉首相の重要会見はほとんど、 正午や夕方などNHKのニュース枠のある時間帯に開かれる。
平日、小泉首相は午前と午後の2回、官邸で番記者の「ぶら下がり」取材に応じるが、午前と午後では態度が変わる。 午前は聞き取れないほどか細い声で、しかも無愛想である。午後は一転してメリハリの利いた声で表情豊かに語る。 理由は単純である。午後の取材にはTVカメラが入るからだ。
投稿者 成田好三 : 2004年02月05日 18:47 | [EDIT]
