2004年02月07日

プロスポーツとスターの役割—新庄、イルハンの生み出す「価値」—

成田好三

 今季のプロ野球・日本ハムとサッカー・J1神戸は間違いなく観客動員数を伸ばす。 両球団の経営状況は好転する。上場企業ならば、両球団の株は値上がり確実な推奨株になる。


 優勝を狙える戦力が整ったからではない。とくに神戸の戦力ではリーグ上位に入るのは無理だろう。

 札幌に移転した日本ハムには、メジャーリーグ帰りの伊達男、新庄剛志が入団。 神戸には、一昨年のサッカーW杯でトルコの3位入賞に貢献したばかりか、 日本中の女性を「虜」にしたサッカー界のアイドル、トルコ代表FWイルハン・マンシズの入団が確実になったからだ。


 サッカーでも野球でも、実力ある選手はサポーターやファンを集めることができる。 しかし、サポーターやファンだけでは巨大なスタジアムは埋まらない。スタジアムを埋めるには、 サッカーや野球のルールさえ知らない人たちを呼び寄せる能力をもつ、スターが必要になる。


 札幌ドームでの新庄の入団会見では、野球に関する質問はほとんどで出なかった。 多くの芸能メディアが集まるはずの、イルハンの入団会見でも、質問は趣味や好みの女性など サッカー以外の話題に集中するだろう。それこそ、彼らがスターであることの証明である。


 興行でありビジネスであるプロスポーツは、常に新たな市場(観客)を開拓する必要がある。 それができるのは、実力のある選手ではない。スターである。


 スターが呼び寄せた、競技そのものには興味を持たない人たちの一部をサポーターやファンに変身させる。 その繰り返しによってしか、プロスポーツは継続的に存在することはできない。


 親会社が起こした不祥事でダメージを受けた日本ハムは、球団の集中する東京・首都圏を離れ、 プロ野球で初めて東京以北を本拠地とする道を選択した。北の大地で新たな市場(観客)を開拓するためには、 新庄は絶対に必要な存在である。


 神戸市などが出資した運営会社が累積赤字の増大により経営継続を断念した神戸は、 インターネットビジネス「楽天市場」で成功した三木谷浩史氏が経営権を引き継いでオーナーになった。


 三木谷氏は新戦力としてブラジル代表の名FWリバウドの獲得を狙ったが断念したという。 しかし、イルハンは市場開拓という意味ではリバウド以上の価値をもつ。 サッカーを知らない、サッカーに興味のない人たちをスタジアムに集める能力において、 イルハンはリバウドをはるかに上回るからだ。

投稿者 成田好三 : 2004年02月07日 18:46 | [EDIT]

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