2004年02月21日

政治家が編み出す新たな釈明スタイル(上)—学歴詐称疑惑で古賀潤一郎氏が提示したもの—

成田好三

 政治家の学歴、特に留学歴に関する話題があちこちのメディアで面白おかしく取り上げられている。小泉純一郎首相、安倍晋三自民党幹事長の留学をめぐる話題も、週刊誌の格好のネタになっている。その『震源地』は昨年11月の総選挙での学歴詐称疑惑の渦中にある古賀潤一郎氏(民主党、福岡2区)だ。


 古賀氏の学歴詐称疑惑は、古賀氏がメディアの予想を裏切って議員辞職をしなかったことで、今でも鮮度のある話題になっている。このコラムでは、大方のメディアとは違う見方を示してみたい。それは、古賀氏が新たな釈明スタイルを提示したこと、釈明の場として記者会見ではなく地元・福岡市内での街頭演説を選択したことだ。


 総選挙でメディア各社に提出した経歴調査票に米国ペパーダイン大学卒業と記した古賀氏は、当選後、同大学を卒業しておらず学歴詐称の疑いがあると、メディアに指摘された。古賀氏はその後、自ら事実関係を確認するためとして渡米した。


 古賀氏は帰国翌日の1月27日朝、福岡市内での街頭演説を自らの釈明の場として選択した。政治家が、自らにふりかかった疑惑を晴らすために、あるいは疑惑に関する事実関係を説明するためとして街頭演説を行ったのは、日本では恐らく例のないことではないか。こうした場合、政治家はこれまで記者会見に臨んで釈明してきた。


 古賀氏の釈明街頭演説はTVニュースで見たが、さすがに米国仕込みだなと、変なところで感心してしまった。古賀氏の釈明の内容やそれに関する論評はここでは触れない。以下は、筆者が感心してしまった理由を、古賀氏が仮に記者会見を選択した場合と対比しながら挙げてみる。


 記者会見では、釈明する当事者は極度の緊張状態を強いられる。それは当然のことだ。釈明の内容と態度いかんによって彼の政治生命が左右されるからだ。


 記者会見でも自らの見解を表明できるが、それは冒頭部分だけの特権である。質疑に移れば、複数の記者から質問攻めに遭う。彼が事前に準備した想定問答を超えた質問も出る。想定外の質問への対応を間違えれば、取り返しのつかないミスを犯すことになる。


 一方、古賀氏が選択した街頭演説では、当事者の立場が記者会見とはかなり違ったものになる。ニュースのTV画像から想像すると、街頭演説の様子はこんな具合だったのではないか。


 当事者(古賀氏)の周りをペンとメモ帳をもった記者が取り囲む。その外側に彼の支持者が集まる。さらにその外側をニュースで知った市民や通勤途中の人たちが遠巻きにする。TVカメラと新聞社のカメラマンは、街頭のあちこちから当事者と市民の表情をとらえようとする。

投稿者 成田好三 : 2004年02月21日 18:39 | [EDIT]

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