2003年12月06日
日本語が日本を救う
森 摂
いま、政治の世界では年金改革を巡る議論が伯仲している。だが、2006年から人口が永続的に漸減していく (社会保障・人口問題研究所予測)状況の中では、年金制度や国家財政の抜本的な再建は極めて難しい。 そろそろ、優秀な人材を海外から本格的に導入することを視野に入れる時期が来ているのかも知れない。
一般的に、日本人は外国人受け入れに消極的だ。犯罪の増加や受け入れによる社会コストの増加を 懸念する声は根強い。実際、第一生命ライフデザイン研究所(当時)が2002年に実施した 「外国人労働者問題に関する意識調査」(回答564人)では、「外国人が増えると犯罪が増えたり、 スラム化したりすると思うか」との問いに対して、「そう思う」+「まあそう思う」で66%と大半を占めた。
だが、この調査では、実に興味深い結果も出てきた。在宅介護、家政婦、保母・保父などのサービスについて 「日本語が通じるのであれば、外国人であっても利用したい」とする答えが、いずれも80%を超えたのだ。
これは、日本人が外国人労働者受け入れに消極的なのは「言葉の壁」が大きいことを示している。 隣に外国人が住むと「コミュニケーションできないから不安」なのであり、そこに相互不信も芽生えやすい。 だが、もし外国人が日本語を話してくれたら、隣に住む日本人の不安は大きく軽減される。
もし仮に、高卒程度の日本語能力を取得した外国人に数年間の労働ビザを与える制度ができればどうなるか。 日本語を話せる外国人なら、地域に溶け込みやすいし、職も得やすい。なにより、日本語で 一定の学力をつけるためには、勤勉さと学習意欲の高さを求められる。これは外国人導入の「安全装置」として、 かなり重要な要素になる。
その一方で、日本語教育市場も拡大するだろう。日本の英語教育市場は業界推計で2兆5000億円。 日本語学習者が増えると、教師、学校、さらには新聞や雑誌など日本語メディアにも市場拡大や 雇用の波及効果が期待できる。日本語を学ぶ人が増えれば、長期的には日本ファンが育成され、 外交面のメリットも考えられる。
今まで日本人は「外国人と会話するには外国語を勉強しなければならない」と思い込んでいた。 だが、彼らに(日本では)日本語を話してもらえれば、日本人も外国人を受け入れやすい。 そして、日本語を話す外国人が数多く住み、経済や社会を活性化してくれたら、日本の未来像は 大きく変わってくるかも知れない。
投稿者 森 摂 : 2003年12月06日 18:26 | [EDIT]
